財務モデルの視覚的対話型操作インターフェースと,その意思決定の品質への作用
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概要
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広範に利用されている表計算ソフトは,事業計画における財務モデルの設計や操作においても,重要な道具となっている.意思決定や将来の環境条件に応じて財務モデルの数値を変更したり戻したりする試行錯誤は,「What-If (もしこうなったら) 分析」 と呼ばれる,表計算ソフトの意思決定支援システムとしての利用である.しかし,表計算ソフトは多くの数値の変更や復帰,退避などを効率的に行うことが困難である.筆者は,スライダーなどのグラフィカルウイジェットを用いてセル上のデータを視覚的かつ対話型に操作することを可能にする "VI (Visual Interactive)-What-If Analysis" という,表計算ソフトの拡張を設計・実装した.この研究の目的は,この機能拡張が,財務モデルの操作を用いて事業計画をする際の意思決定に,どのような作用をもたらすかを,ユーザー実験を通じて調査するものである.実験は,58 人の大学院生および 23 人の現役社会人を被験者として 2 回実施された.その結果,この機能拡張が,リスク認識,意思決定に対する自信,およびバイアスの回避といった面で,意思決定の品質を向上する作用が認められた.
- 2010-09-21