複雑ネットワークの構造的頑強性について
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概要
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スケール・フリー・ネットワークは構成ノードのランダムな機能不全に対しては非常に頑強であるが,ハブを重点的に除去された場合には極端に脆弱であるという二面性を持っている.本研究では,ランダムなノードの機能不全とハブに対する重点的な攻撃の双方に対して同時に頑強であるネットワーク構造は二極次数分布構造であることを解析的手法を用いて導きだす.さらに,二極次数分布構造を持つネットワークとスケール・フリー・ネットワークとの間を連続的に内挿する多極次数分布ネットワーク (multimodal network) を導入し,これも生成関数等を用いる解析的手法により,ノードあるいはリンクを除去した場合のパーコレーション閾値,最大クラスタサイズ,平均クラスタサイズ等の重要な諸量を計算する.これらの計算から,ハブを導入することによって外部擾乱に対するネットワークの頑強性はどのように変化していくのかについて数学的に厳密な知見を得ることができる.また,現実に存在するさまざまなネットワークが外部擾乱に対してどのように機能不全に陥っていくか等について確かな指針が得られ,よりセキュアなネットワークを設計することができるようになる.
- 2010-10-25