エンジン用器具により拡大形成された上顎第一大臼歯近心頬側根管における側方加圧充填法の研究

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マイクロフォーカスX線CT装置は試料を破壊することなく根管内部が観察できるため,拡大形成された根管の形態変化や根管充填歯の封鎖性の評価に適している.また近年,米国ではエンジン用根管拡大形成器具の使用が一般的となっている.この研究は,湾曲根管用のエンジン用RTファイルを用いて上顎第一大臼歯40歯の近心頬側根管に対し拡大形成を行った後,側方加圧充填法により根管充填を行い,根管の切削状態と封鎖性について,マイクロフォーカスX線CT装置により評価することを目的とした.マイクロフォーカスX線CT装置により得られた所見から根管形態の判定,根管の拡大形成と充填状態の評価を行い,算出されたガッタパーチャ充塞率から,以下の結論を得た.X線所見と根管断層像から,近心頬側根の第1根管は,強湾曲根管が20根管,弱湾曲根管が20根管,強扁平根管が14根管,弱扁平根管が26根管で,さらに両者の組合せから強湾曲・強扁平根管が7根管,強湾曲・弱扁平根管が13根管,弱湾曲・強扁平根管が7根管,弱湾曲・弱扁平根管が13根管とに分けられた.マイクロフォーカスX線CT装置による断層像から根管の切削状態,圧接状態,また,三次元構築像から根管の全体像が明確に把握できた.ガッタパーチャ充塞率は,弱扁平根管群で96.3%,弱湾曲根管群で93.3%,強湾曲根管群で89.1%,強扁平根管群で81.9%であった.また弱湾曲・弱扁平根管群では96.4%,強湾曲・弱扁平根管群で96.1%,弱湾曲・強扁平根管群で87.7%,強湾曲・強扁平根管群では76.0%であった.統計学的分析により,ガッタパーチャ充塞率は根管湾曲度と根管扁平度によって有意に影響され,その効果は扁平度のほうが湾曲度よりも大きいことが認められた.以上のことから,根管の湾曲度がガッタパーチャポイントの圧接に及ぼす影響は小さいが,根管の強い扁平化は圧接不足を起こす要因となり,圧接時には根管の扁平度を意識した圧接方法と圧接方向を配慮した加圧が必要であるという結論を得た.
2010-02-28

エンジン用器具により拡大形成された上顎第一大臼歯近心頬側根管における側方加圧充填法の研究

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