13.歩行時における床の硬さと歩行感について(第2部(材料・施工関係))
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概要
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床材料が要求される性能には、防滑性、耐磨粍性、歩行感のよいことなど種々にあろうが、ここでは、おもに歩行感にともなう問題をとりあげ、床の硬さと歩行感の関係、人の正常歩行時の床と靴の踵の後端との衝撃の程度、などを考察した。歩行感のよいということは、床材料だけの問題では処理できるものではなく、通路部分の壁の状況、天井の材料および高さ、施工の程度、さらに、色彩の問題、設計計画的な合理性など、デザインの面も含まれてくるので、極めて復雑であるが、その中でも特に重要なものは床の防滑性と硬さとであろう。人が歩行する場合、靴の踵の後端が接地の際、最初に床に打つ、その時の衝撃が躰に伝わり、歩行感のよしあしの印象を歩行者に与えるものである。歩行速度の早い場合には、この衝撃は更に大きくなる。靴については踵材料がゴムであれば問題はないが、金具を踵の後端に打った場合、このことは一層、大きな衝撃となってくる。歩行感の度合を測るものとしては、頭にピックアップをのせて歩行させ、履物の着地の際の衝撃により生じる電圧からその大小を推定するもの、あるいは、歩行中の筋肉の状態を電位にかえて、歩行感を推定するもの(R.Schjont)などがある。床材の弾性を測り、それを歩行感と結びつけるものには、鋼球を一定の高さから落下させ、そのはねかえりによって、その床材の反撥係数を求めたもの(吉岡円氏、宇野英隆氏)がある。宇野氏はさらに、ガラス球を床面に落下させ、それが割れたときの高さから床の衝撃について述べておられる。床の材料の硬さを表示するものには、押しこみ硬さであるブリネル、ロックウエルなど、衝撃硬さであるショア、シュミットハンマなどがあり、床材の硬さの表現につかわれることがある。ここでは、これらの表わす硬さの度合と、歩行時、踵の後端部が着地する時の衝撃の強さとの関係を推定したものである。