薬剤によるマツ材線虫病からの回復木にみられた回復過程諸相
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概要
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マツノザイセンチュウを接種し発病した11年生クロマツに殺線虫剤チオナジン及びメスルフェンホスを注入し、その後の発病・回復あるいは発病・枯損経過を追跡した。部分枯死木を含む生残木については2年後に伐倒し、材内を観察した。1)線虫接種2週間後のチオナジン注入木においては、樹脂流出の回復と高い生残効果がみられ、2)回復・生残木では、肥大成長の停滞と回復があり、3)回復・生残木の中には部分枯死がみられた。4)部分枯死木の枯死枝の付け根の樹皮下(内樹皮及び形成層)は壊死部で囲まれていた。樹幹の薄切円板をつくり観察したところ、回復木の円板には水分通導阻害斑と褐色病変部がみられた。褐色病変部が治療実験を行った年の年輪にまで届いているものでは、そこに樹皮下壊死部を形成していた。本実験では、薬剤処理により病気の回復効果の期待できる発病段階(樹脂流出の停止及び形成層活動の低下はあるが形成層は死んでいない可逆過程にあるもの)と褐色病変部の拡がりによって生じる形成層壊死が局部から全体に進み薬剤による回復の期待が急速に狭まる発病段階とがあることが示された。
- 樹木医学会の論文
- 2001-09-30
著者
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