人体及び金属の影響を低減することを目的とした自己適応型電力分配器による放射方向切換方式の提案(<特集>高度化するワイヤレスシステムを支えるアンテナ・伝搬技術論文)

概要

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無線端末の小型化,薄型化により,内蔵アンテナは人体や金属などの端末外部の環境とより近接して配置され,その特性が劣化すると考えられる.特にきょう体にアンテナを設けた無線端末やウェアラブルアンテナなど,アンテナ極近傍にまで人体や金属が近接する無線通信システムにおいては,これらの影響を低減する手法が重要である.人体の影響を低減する手法として,CSRR帯域通過フィルタの特性が人体近接により変化することを利用した自己適応型電力分配方式が提案されているが,人体以外の媒質近接による特性変化を報告した例はない.また,提案された方式で用いられたCSRR帯域通過フィルタの動作帯域は非常に狭帯域であり,動作帯域幅を自由に設計することが困難であった.そこで本論文では,LPF及びHPFにより構成されるCSRR帯域通過フィルタを用いることで自己適応型電力分配方式の設計自由度を向上できる新しい構成法を提案し,人体及び金属近接時の特性変化を検討する.更に放射素子としてMSAを基板両面にそれぞれ配置し,人体及び金属近接を起因として放射方向の切換を行うアンテナ構造を提案する.
2010-09-01