B-3 地域情報ネットワークの展開(自由論題)
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概要
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1999年、IT基本法の成立を契機に我が国は、通信速度と価格の面で世界最先端のIT環境を実現した。しかしながら、IT基本法からほぼ10年が過ぎ、進展するITを活用することにより大きな成果を上げている企業は決して多いとは言えない。特に、地域に限って言えば、ITこそ地域の限界性を打破し、地域の活性化に寄与する最良のツールとして注目されてきたのであったが、そのITが地域企業を活性化に導いたというケースは稀で、現在ではITが地域企業の重荷になってきている。この地域企業におけるIT活用の問題は、1970年代の「土建的立地」、「箱物重視の至上主義」といった押し付け的要素の強い「開発主義的」な政策によるところが大きい。つまり、ITといったツールは、地域自らが主体的に活用しなければ、そのツールを経営の強化に結び付けることは厳しいことを意味した。しかし、1980年代ごろになり、主体的に地域の発展に寄与する「地域主義的」発想が各地域に芽ばえ始めていく。これは、地域住民や企業が自ら情報の共有化を実現するプラットフォームとして地域情報ネットワークを具現化し、地域間の関係性を強化する「共働型社会」を形成していった。ここで事例として検討する「越後ものづくりネットワーク」は、まさに地域主義的な視点で構築され、地域情報ネットワークが求められる地域活性化に寄与するものである。本報告でそのネットワークの構造及びその発展可能性について検証し、地域情報ネットワークとは何かを考察する。
- 2010-06-25