浮遊性カイアシ類の成長速度測定法
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概要
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浮遊性カイアシ類は,世界中のいずれの海域においても動物プランクトン群集の主要な構成群であり,海洋生態系において基礎生産を高次栄養段階へ転送する役割を担っている。一般的に,浮遊性カイアシ類の生産は個体群の生物量に成長速度を乗ずることによって求めることができる。生物量については技術の向上によって正確に測定できるようになってきたものの,成長速度については浮遊性カイアシ類に適した測定法がどれか検討されておらず,このため基礎生産と比べると浮遊性カイアシ類における生産の推定値が妥当かどうかよく分かっていない。本稿では,これまでに利用されてきた天然カイアシ類個体群における成長速度の測定法をレビューし,測定の際に必要な仮定をまとめ,これらの利点・欠点を明らかにすることを目的とした。天然カイアシ類個体群の成長速度を求める方法として,これまで天然コホート法,人工コホート法,脱皮率法,卵生産法,核酸・タンパク質比法,酵素活性法,経験的モデルが利用されてきた。いずれの手法も固有の仮定に起因する利点と欠点があり,今のところ普遍的に利用できる手法は存在しない。サンプリング条件やカイアシ類の種類にふさわしい手法を選ぶと共に,複数の手法を組み合わせて欠点を補うこと,推定値の妥当性を評価することが重要である。
- 2010-09-05
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