生活保護世帯の世帯構造と個人指標
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
生活保護に関する政府統計は,被保護層を「高齢者世帯・母子世帯・障害者世帯・傷病者世帯・その他の世帯」の5類型で把握しているが,世帯定義の基準は質的に異なっており整合性がない.また,政府統計では学歴階層が把握できないなど被保護層の実態把握には限界がある.そこで本稿では,A自治体において2005年度に保護が廃止された全世帯を対象として,既存の世帯類型を世帯構造から捉え直すとともに,傷病・障害と学歴階層の指標を加えて被保護層の特徴を分析した.その結果,(1)障害者世帯・傷病者世帯以外でも傷病・障害と貧困の関連が見いだされること,(2)母子世帯以外にも有子世帯が一定数存在し,成人子の存在も含めて「子どもの貧困」の視角が必要であること,(3)世帯主とその配偶者の学歴階層は同一世代の学歴構成と比べて低いほうに偏りがあること,といった特徴や知見が見いだされ,被保護層の実態把握に新たな指標の必要性を提示した.
- 2009-05-31
著者
関連論文
- 被保護母子世帯の開始状況と廃止水準
- 生活保護世帯の世帯構造と個人指標
- アメリカ福祉改革再考--ワークフェアを支える仕組みと日本への示唆
- 生活保護受給期間における母子世帯の就業と収入構造 (特集 女性の格差・分断・連帯)
- 社会福祉政策とジェンダー・アプローチ : 日本・韓国・台湾におけるドメスティック・バイオレンス対策を通して(第1部:海外の福祉政策動向から日本の現状をとらえなおす,政策・理論フォーラム)
- 母子世帯の所得分布と児童扶養手当の貧困削減効果--地方自治体の児童扶養手当受給資格者データから (貧困研究の課題(6)女性と貧困)
- 貧困元年としての1985年--制度が生んだ女性の貧困 (特集 女性の貧困--何が見えなくしてきたのか?)
- 2002年改革後の母子世帯と就業支援策の状況--児童扶養手当の削減と凍結をめぐって (特集 児童扶養手当と母親の就労)
- 母子世帯の階層分化--制度利用者の特徴からみた政策対象の明確化 (特集 子どもを巡る環境の変化)
- 雇用と福祉(第2回講演,「雇用労働」とジェンダー再配置)
- 母子世帯の母への就業支援に関する研究
- 児童扶養手当の改革と就業支援策の課題 (特集1 「構造改革」と家族、子育て、保育支援策の課題)
- 児童福祉 親の養育責任を支える社会システムと少子化 (特集 子どもの権利の総合的保障と学際研究)
- 生き方を変えたおんなたち(5)母子家庭の女性たちとのかかわりをとおし、女性への構造的差別を実感--大木清子さん
- 『ワンペアレント・ファミリー(離別母子世帯)に関する6カ国調査』(財)家計経済研究所編
- 母子世帯の所得保障と児童扶養手当て--児童扶養手当制度の見直しによせて
- 経済企画庁発表「無償労働の貨幣評価について」 (女性とアンペイド・ワ-ク)
- 「生活給」要求の論理--春闘以前の賃金交渉方式の検討
- 福祉の市場化と介護サービスの供給に関する考察
- 母子世帯の所得変動と職業移動 : 地方自治体の児童扶養手当受給資格者データから
- 中田照子・杉本喜代栄・森田明美編著, 『日米のシングルファーザーたち-父子世帯が抱えるジェンダー問題-』, ミネルヴァ書房, 2001年11月, 233頁, 2600円(家族における生活の営みと保障)
- 2 ひとり親家族政策とワークフェア : 日本における制度改革の特徴と課題(テーマ別分科会2=ワークフェアとジェンダー,II テーマ別分科会=報告論文と座長報告)