海外拠点の設立経緯と製品開発機能のグローバル展開 : デンソーの伊・韓・米拠点の事例から
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概要
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グローバルR&Dに関する既存研究のほとんどは、これまで本国本社に集中していたR&D能力を、いかにして海外拠点に移管・蓄積するのかに注目している。しかし、海外拠点の設立形態や経緯が多様であることを考えると、グローバルR&Dの合理化を図る上では、海外拠点への開発能力移転のみが課題となるわけではない。本稿は、グローバル自動車部品メーカーであるデンソーの事例を用いて、海外拠点の設立形態によって製品開発機能のグローバル化における課題がいかに異なるのかを探る。事例分析の対象として、デンソーのイタリア、韓国、アメリカ拠点と日本本社との製品開発分業を取り上げる。それぞれ買収、合弁、単独出資進出と言った経路で設立された現地拠点が現地顧客対応のために本社と行っている開発分業の在り方を詳述することで、進出形態による開発分業の違いを明らかにする。結論としては、単独出資進出で設立された海外拠点の場合は、カスタマー志向品の開発をいかに本社から現地拠点へと分散させるかが課題となる一方、M&Aによる設立の場合は、標準志向品をいかに本社へと集中させるかが課題となることを指摘する。
- 2010-04-30