タバコシバンムシの生態学的研究 : IV. 浜防風を餌に用いた場合の発育について
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概要
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粉末化した浜防風を餌とし,たばこ由来のS個体群と,高砂市内の鳥の餌から採集したT個体群の虫を用いて,両個体群のタバコシバンムシの発育比較を行なった。本実験の結果をまとめてみると以下のようになった。1.幼虫の脱皮回数は,S群では3回脱皮する4齢型が61.7%, T群では4回脱皮する5齢型が82,2%で,過半数を占めた。2.全発育日数はS群の4齢型67.4日,5齢型79.6日で,T群の4齢型72.4日,5齢型81.1日であった。いずれも4齢型の方が日数が短く,T群よりS群の方が発育が速かった。3.幼虫各齢期の発育日数は,個体群,齢型,にかかわりなく,終齢期が一番長かった。4.幼虫終齢期の平均頭幅は,わずかにT群よりS群の方が大きく,4齢型より5齢型の方が大きかった。5.幼虫頭幅の成長比は,両群とも4齢型は1.54で一致し,5齢型もS群1.42, T群1.41で,ほぼ同じであった。幼虫頭幅の成長比は齢型によって一定し,多齢化するに従い,成長比は小さくなった。6.成虫の頭幅は,4齢型より5齢型が大きくなった。7.羽化率、生存率は、S群、T群いずれも90%以上の高い値を示した。
- 1997-12-25