環境汚染による昆虫集団の遺伝的,生理的変化,とくに環境ホルモンの影響
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概要
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近年,「環境ホルモン」とよばれる内分泌撹乱物質の動物に及ぼす悪影響が注目されるようになった。ホルモンは体内の内分泌器官でつくられ,微量で生理的な調節,制御作用をおこなう物質である。環境ホルモンは正式名称を外因性内分泌撹乱化学物質といい,環境中に存在して,極めて微量で生体の内分泌系を乱す。ホルモンに似た働きをしたり,ホルモンの働きを邪魔したりする環境ホルモンは100種以上知られており,その中には殺虫剤,殺菌剤,除草剤も含まれている。環境ホルモンの悪影響はマウスなどの実験動物や人類のほか,野生動物の貝類,甲殻類,魚類,両生類,肥虫類,鳥類,浦乳類について数々の具体例が挙げられているが,昆虫類に関する例は見当たらない。しかし,昆虫は指標生物として重要な存在と思うので,昆虫集団に起こりつつある遺伝的,生理的変化の知見をとりまとめて,話題提起としたい。
- 1998-12-30