イエバエ成虫の複眼,単眼および触角の微細構造
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概要
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ハエはハエ目(双翅目)Dipteraに属する昆虫の総称で,一般に,ハエ,アブ,ブユ,カなどと呼ばれる昆虫の仲間で,世界中には25万種はいると推定されている。本当の意味でのハエはハエ目環縫群(Cyclorrhapha)に属するもので,日本からは約50科, 3,000 種が記録されている。しかし,その95%は人間の生活に関与していないもので,衛生害虫と考えられるものは約10科,数十種だけである。そのうち,イエバエ(Musca domestica L.)はイエバエ科(Muscidae)に属するハエで,幼虫はゴミなどの有機廃棄物に発生し,成虫になってから好んで家屋内に侵入する習性があるため,室内でよくみられる衛生害虫である。イエバエは成長が早く,25℃の場合は卵から成虫になるまでの日数は13〜14日だけで,温度が高くなると,日数はさらに短くなる。人口密度が高く,経済活動の活発な都市では大量なゴミを排出し,イエバエの生育に好条件がそろっているといえる。1965年6〜7月に夢の島,1989年秋に東京湾ゴミ埋立地で大発生したハエによる騒動の主はこのイエバエであった。本稿は著者が走査電子顕微鏡でイエバエの微細形態を観察し,成虫の複眼,単眼および触角の部分をまとめたものである。諸賢の研究に参考資料として役立てば幸いである。
- 日本家屋害虫学会の論文
- 1996-12-25
著者
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