ドイツにおけるプロジェクト法の展開とその特質に関する一考察 : クノル(Knoll, M.)の学説の検討を中心に
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概要
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本研究の目的は,ドイツにおけるプロジェクト法が,歴史的にどのように展開され,どのような特質を持っているのかを明らかにすることにある。本稿では,プロジェクト法を歴史的に検討したクノル(Knoll, M.)の学説を出発点として,(1)ドイツのプロジェクト法がデューイ(Dewey, J.)の教育思想を理論的根拠として展開された背景,(2)デューイの教育思想を理論的根拠とする実践の展開,(3)デューイの教育思想にもとつかないプロジェクト法の実践(4)以上3点にもとついてクノルの学説の妥当性を検討した。ドイツのプロジェクト法は,1935年にペーターゼン(Petersen, P.)が編集した翻訳書を根拠として,1970年代のデューイの学校論のルネッサンス,その後のプロジェクト法の実践の広がりのなかで,デューイの教育思想を理論的基盤として展開された。ただし,歴史研究が不十分であったため,実際には,キルパトリック(Kilpatrick, W. H.)のプロジェクト・メソッドと同様の構想がなされていた部分があった。しかし,ドイツにおけるプロジェクト法の実践には,キルパトリックのプロジェクト・メソッドとは異なり,教師の指導性が見られること,デューイを理論的基盤としない実践も見られること,16〜19世紀のプロジェクトの意味より広い概念で実践が行われていることから,クノルの学説には妥当性に欠ける点があることを指摘した。
- 2007-03-31
著者
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