戦後初期コア・カリキュラムの「形態」としての問題と可能性 : 「明石プラン」の改訂過程を手がかりに
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概要
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本稿では,コア・カリキュラムという「形態」のうちに,カリキュラムの「固定化」を回避する可能性をもちえたいくつかの条件を見出した。対象を,コア・カリキュラムの典型,「明石プラン」にしぼってみると,以下の4つの条件が挙げられる。すなわち,(1)カリキュラム「全体」を貫く目的として,理想的人間像を設定したこと。(2)児童の「連続的」発展を見通して,カリキュラムの系列(シーケンス)を立てたこと。(3)カリキュラムの中心に据えた生活活動に,様々な要素を「接合」したものが,内容として構成されたこと。(4)実際に行った実践を踏まえて,カリキュラムを「連続的」に改訂し続けたこと。以上のような条件が,単元の内外でいかに実現していったかについて,「明石プラン」の研究紀要リスト,および単元の一覧表の作成を通じて検証してみた。また,二つの単元に関する「教育細案」(詳しく記載した教育計画)をとりあげ,改訂された点を具体的に明らかにした。最終的には,理想的人間像を個々の子どもに求めたために,コア・カリキュラムの「全体」としての「形態」をあらかじめ計画することが困難となったといえる。
- 2007-03-31
著者
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- 崎田嘉寛著, 『戦後初期学校体育の研究 広島県の小学校を手掛かりとして』, 溪水社刊, 2009年8月発行, A5判, 280頁, 本体価格5,300円