J. デューイの経験主義における歴史の学習段階論 : 他者認識の段階的形成の筋道
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概要
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本論文は『デューイ実験学校』(K. C. メイヨー,A. C. エドワーズ,1936年)の縦断的分析を通して,学習者の他者認識の筋道の次元で,J. デューイの経験主義における歴史の学習段階を明らかにしている。この課題に本論文は,歴史の学習段階に関するデューイの仮説(1898年)を検証するかたちで応えている。デューイ実験学校の学習者は次の他者認識の原理に基づいて,歴史学習を進めている。第一に,学習者は生活必需品を作る仕事に従事した後,同様の仕事に従事した歴史の中の他者を認識の中に描き出す。第二に,歴史の情報を通して学習者は,その他者の生活に連結されていた他者の連なり(他者圏)を認識の中に描き上げる。この二つ原理の下で,学習者は次の三段階を通して歴史上の他者圏を認識している。第一段階において(6・7・8歳),学習者はいかなる特定の時間・場所にも関わることなく,歴史上の他者圏の産業生活を認識の中に描き出す。第二段階において(9・10・11歳),学習者はシカゴ植民地時代という特定の時間・場所における他者圏の産業生活を認識の中に描き出す。第三段階(12・13・14〜15歳)において,学習者は時間を越えた世界史的な他者の連なりを認識の中に描き上げ,自らの直接の祖先であるシカゴ植民地時代の上の他者圏を世界史的なその他者圏の一部として認識する。
- 2004-03-31
著者
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