障害学生の社会福祉現場実習における「当事者である自己」 との向き合いに関する研究 : 社会福祉専門職をめざす学生の実習体験の質的分析を通して
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概要
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本研究の目的は, 障害者であることを 「個性」 として生かす社会福祉専門職を育てる観点から, 学生が 「当事者である自己」 と向き合うときに抱える課題と対処の過程を明らかにすることである。 研究の方法は, 脳性まひを有する学生 A さんの社会福祉現場実習体験を対象とし, 学生が実習で 「当事者である自己」 と向き合うときにどのような課題が生じ, どのように対処したかについて, 漸次構造化法的アプローチによる質的分析を行なった.研究の結果, 次の 2 点が明らかになった。 第一に A さんの 「当事者である自己」 との向き合いに関する 5 つの課題が見出された ((1) 「社会への船出に対する不安」 (2) 「実習生として必要なスキル」 (3) 「当事者とどうかかわるか」 (4) 「どのように働きたいか」 (5) 「『当事者ワーカー』 になることの意味」), 第二に A さんがこれらの課題を抱えるいきさつと対処の過程が見出された. 実習先の当事者の人々は, 学生の 「当事者としての自己」 に刺激を与え, 自己との向き合いを支えた. それは, 同じ障害者として 「体験としての障害」 を共有できたからであると考えられる.今後の課題は, この研究成果を仮説として他の学生の実習体験についても分析することで, 「当事者である自己」 との向き合いにかかわる課題と対処のバリエーションを明らかにし, 適切なスーパービジョンのあり方について検討することである.
- 2010-09-30
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