天蚕(ヤママユ)食樹,落葉カシ類の鱗翅目害虫相
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概要
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1982年4月から1989年6月まで滋賀県長浜市と浅井町の滋賀県農業試験楊,ならびに同じく浅井町の七尾山において天蚕(ヤママユ)の主要な食樹である,Quercus類(クヌギ,アベマキおよびコナラ)の鱗翅目害虫相およびその生態を調査した.この調査において,Quercus spp.の鱗翅目害虫は,24科,164種が確認された.重要害虫としては8種,()内は加害部位または加害状況〕:コウモリガ(幹・枝),チャミノガ(新葉・葉),イラガ(毒針毛による人体に対する炎症,作業上の支障),ニセクヌギキンモンホソガ(葉),ムモンヒロバキバガ(新梢),ナカトビフトメイガ(葉),オオトビモンシャチホコ(葉)およびマイマイガ(新葉・葉),準重要害虫としては8種:プライヤハマキ(葉),Spulerina virgulata KUMATA et KUROKO(樹皮潜孔,幼木),Teleiodes sp.2(キバガ科)(新梢),キマエアオシャク(新葉・葉),ヨモギエダシャク(葉),オビカレハ(葉),ナシケンモン(葉)およびシラオビキリガ(新梢・葉)を確認した.また,未記載種として,Tischeria sp.1(ムモンハモグリガ科),Parapammene sp.1(ハマキガ科), Hypatima sp.1〜sp.4(キバガ科),Telphusa sp.1(キバガ科),Teleiodes sp.1〜sp.3(キバガ科)の10種を確認した.食樹別では,クヌギは104種(内38種は新記録食樹),アベマキは132種(内124種は新記録食樹)そしてコナラは49種(内23種は新記録食樹)を確認した.鱗翅目幼虫の発生のピークは5月(109種,66%)で,6月下旬〜7月中旬(18種,11%)は少なかった.
- 日本鱗翅学会の論文
- 1990-07-20