茨城県産ウスバシロチョウの生態
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ウスバシロチョウが茨城県水海道市小貝川河川敷草原で発見されたのは,1948年5月である.これが茨城県初記録で,関東地方における未記録県は千葉県のみとなった.記録地は地理的に小貝川低地とよばれている.同地の本種は年ごとに発生数を減じながら1951年を最後にその姿を消した.発生地(以下旧発生地とよぶ)も環境が激変し茨城県産本種は絶滅したかに思われた.しかるに,1976年5月,旧発生地より約8km下流の茨城県筑波郡伊奈村の同河川敷草原で,塩田らにより生息が確認された.同地には2カ所の生息地があるが,発生量の多い地点を対象に,1976年〜1979年の観察結果から茨城県産ウスバシロチョウの生態を報告する.本稿を草するに当り日頃御指導をたまわる九州大学白水隆博士,茨城県における初発見者木村信之氏,植物についてご教示下さった茨城大学鈴木昌友博士,日本植物友の会理事渡辺剛男氏,水源地近傍の本種について示唆を与えられた小泉雄一郎医博,再発生確認の端緒をつけられた茅根重夫氏,幼虫発見に協力された日本写真家協会員中村国利氏,茨城県立水海道第二高校生物クラブの諸姉にお礼申しあげる.
- 日本鱗翅学会の論文
- 1981-02-20