チョウの翅の傷と鳥の攻撃
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
一般に鱗翅目成虫が鳥などの捕食者に攻撃されてのがれた場合,翅にV字形の模様や切れ込み(beak mark)や大きくえぐれた傷ができると考えられているが,このような傷が鳥の攻撃以外の原因で生じないかどうかを室内実験により調べた.実験はPieris属の3種のチョウ(モンシロチョウ,スジグロチョウ,エゾスジグロチョウ)を用いた.野外で捕えた無傷の成虫,あるいは室内で蛸から羽化させたものを,枯枝などの障害物を設置したケージに入れて自由に飛び回らせたものを対照区,ヤマガラ・シジュウカラ・ウグイスの3種の鳥に与えて攻撃させたものを実験区として,両サンプルのチョウの翅についた傷を記録,比較した.この結果,小さな対称傷は実験区・対照区どちらのサンプルにも見られたが,大きな傷,特に大きな対称傷は鳥の攻撃によってのみ特異的に生じることが明らかになった.
- 1985-03-20