モンキチョウの食草の実験的検討
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概要
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モンキチョウColias erate poliographus Motschulskyの食草には,マメ科の多数の植物が知られているが,この中には,帰化植物や移入植物,栽培種などが少なくない.また,この蝶は草原性の蝶である.従って,本種は農耕の開始以前には,現在よりも限られた食草と棲息地のもとで少数個体が発生していたか,あるいは,日本に分布していなかったことが考えられる.日本に分布していなかったという考え方は,本種の分布,亜種分化,飛翔力,現在の食草の中に在来植物があることや他の草原性蝶類のことなどを考慮すればほぼ否定できる.従って,本種は,農耕開始以前には,海岸・河岸草原やその他の一時的草地などで在来のマメ科植物を食草として棲息していて,その後の人類の営力による環境の変化に応じて棲息域を拡大し,食草の構成を変え,個体数を増加させて現在に至ったものと考えられる.北海道は開拓が始まってからわずか100余年しか経っていないが,このような変化は北海道においても起こったと思われる.本種は自発休眠をせず,多化性であり,比較的多食性であって,害虫的性格をもっている.実際,同属種のオオアメリカモンキチョウC. eurythemeは,北米の開発とともに分布域と個体数を増大し,一部でムラサキウマゴヤジの大害虫となっているし,モンキチョウ自体,かつて日本ではダイズの著名な害虫であった.筆者は,開拓が開始される以前の北海道における本種の食草を推定するため土着の各種のマメ科植物で飼育を行ったので,その結果と,本種の食草について得られた若干の他の知見をここに報告する.
- 1977-06-01
著者
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