STUDIES ON THE EARLY EMBRYONIC DEVELOPMENT OF PIERIS RAPAE CRUCIVORA BOISDUVAL (RHOPALOCERA)
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概要
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1) Pieris rapae crucivora BOISDUVALモンシロチョウの産下直後の卵の構造と28℃-30℃に於ける早期胚子発生について述べた. 2) 産下直後の卵は白色,形は弾丸形であり,平均の大きさは長径0.55〜0.60mm,短径0.27〜0.29mmである.卵の最外側は半透明で,細かく刻まれた二次膜(卵殼)であり,その内側で卵膜がそれに密接している.卵膜の内側には表原形質層があり,その内側には卵黄が存在する. 3) 卵の前方約1/4の中央部に横たわっている接合核は産下約100分後に最初の核分裂を行なう.繰り返される分裂によって,2,4,8,16,……2^n個の分割核を生ずる.この時期では卵全体が一種のシンシチュームである. 4) 産下約160分後に分割核はアメーバ運動によって卵の表面に向って移動する.核分裂はこの移動過程を通じても行なわれる.移動期の分割核は進行方向と反対方向に細胞質の長い尾を有している.分割核のあるものでは2個の分割核が1群の細胞質を共有して1つの単位を構成している. 5) 分割核の表原形質層侵入は卵の前極附近で早く,後極部分では遅れる.分割核が卵の後極附近の表原形質層へ侵入する頃,卵の前極部分では胚盤葉形成が始まっている.分割核の一部分は卵黄内に留まり卵黄細胞形成にあずかる. 6) 胚盤葉形成は卵の前極から次第に後極に及び,遂には卵の表面全体に及ぶ.極めて早い時期には,胚盤葉形成にあずかる分割核と卵黄細胞形成にあずかる分裂核の間には構造的差異は認められない. 7) 卵黄核も胚細胞核と同様に有糸分裂によって増加するが,早い時期に卵黄核の有糸分裂は見られなくなる. 8) 産下約7時間後に卵の腹側で,胚盤葉の不均等な成長が起り,その結果腹側に胚帯が分化する. 9) 産下約8時間後に,胚盤葉から胚帯への移行部に羊膜腔が形成され,羊膜及び漿膜が各々分化する.同時に胚帯は卵黄内に沈下する.
- 日本鱗翅学会の論文
- 1965-12-30