ユダヤ教スピリチュアリティの横顔 : A・グリーンとA・J・ヘシェル(<特集>スピリチュアリティ)
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概要
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歴史的に「スピリチュアリティ」という言葉はユダヤ教にとって必ずしも肯定的な言葉とはいえない。それはキリスト教が「霊」を強調してユダヤ教を「肉」と批判をしてきた歴史があるからであるが、近代になってユダヤ思想家たちは再び「霊」という言葉をユダヤ教解釈に取り入れることに積極的になる。その顕著な例が、A・グリーンの著作と仕事である。それまでの「霊」「肉」二元論の葛藤に基づくスピリチュアリティ議論とは一線を画しつつ、またA・J・ヘシェルのspiritualityとspiritualismの区別にヒントを得つつ、グリーンは、ユダヤ教の多様性は「神の面前における生」をゴールにおく点で共通しているとして、ユダヤ教スピリチュアリティは、その「神の顔」の前での生に向けての努力と定義できるとする。ユダヤ教スピリチュアリティは単なる概念の共有ではなく、その「顔」を見出すための論争と対立が「面前の生」そのものであると彼は主張する。
- 2010-09-30