ジャック・ブレルのシャンソンにおける笑いの生成
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概要
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ジャック・ブレルのシャンソンにおいて、「笑い」がどこからどのように生まれているのか、ブレルの独自性を探りながら、テクスト・音楽・パフォーマンスにおいて考察する。テクストではオチが多用されているが、これは彼のシャンソンの演劇性と関連している。また彼が表現技法として意識的かつ効果的に使用した、歌詞の極端な繰り返しが、笑いにも活かされている。音楽はテクストに書かれた登場人物や場面の滑稽さを際立たせている。またブレルの特徴として知られるクレシェンドが、感動的盛り上げだけでなく、オチの効果を高める働きもしている。パフォーマンスでは、笑いは声や身振りによる模倣からだけでなく、テクストとの巧妙な結びつきによっても引き出されている。更にはこのパフォーマンスこそが、笑いを生む音楽・テクストを最終的に決定しているという側面がある。以上のことからブレルにおいては、「笑い」はテクスト単独でも起こりうるものよりむしろ、それが演じられて初めて生じるものの方が中心で、そのことがブラッサンスやトレネらの笑いとの違いをなしている可能性がある。
- 2010-07-10
著者
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