武州八王子に見る地域市場の展開 - 八王子縞買の動向を中心に
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概要
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本稿は武蔵国多摩郡八王子町(現東京都八王子市)を事例に、近世後期の地域市場の特質を分析したものである。八王子市場は一七世紀末以降、「八王子織物」と称される絹織物の取引によって江戸近郊の地域市場として発展を遂げてきた。この絹織物取引を支えていたのが「縞買」と呼ばれる在郷商人である。縞買たちは八王子の市で集荷した織物を、主として多摩地域および江戸の中小の呉服屋に売り捌いていたが、一八世紀以降、庶民の絹織物嗜好をうけて、三井越後屋等の江戸の大呉服屋や近江商人とも取引を行うようになった。本稿では彼らの多様な取引を分析し、その背景に原料の生産から製品化までを行う織物生産圏の形成があったことを論じた。
- 2010-07-29