日中戦争期上海のマッチ製造業と日本
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概要
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本稿では,日中戦争期上海のマッチ製造業を事例として,原料の調達・製品の販売など,戦争がもたらした上海の経済構造の変容を考察するとともに,日本占領下で企業活動を続ける中国側資本家の対日関係の模索について検証した。Iでは日本資本と共同カルテルを組織するなど,戦前のマッチ業界にみられた日中協調的な関係を確認した。IIでは,中国企業主導で組織された戦前のカルテルが戦時中に日本企業主導で改変され,占領地の物資統制を担う機関となっていく過程を実証した。IIIでは,中国企業最大手である大中華火柴公司の戦時下の状況を跡づけるとともに,各種統計データを利用して戦時期の原料の調達や生産量動向,貿易動向を検証した。
- 2010-06-25