都市近郊における養豚業の排せつ物処理と堆肥の流通
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概要
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高度経済成長期以前,耕種農業と畜産業は双方から排出される廃棄物を相互に利用し,耕畜連携システムが形成されていた.しかし,作物の土地生産性の向上などを目的とした工業的農業の進展に伴い,農業の持続性が損なわれることになり,農業部門における循環型社会の構築が求められるようになった.そこで,本研究では神奈川県の養豚経営体を調査対象として,都市近郊の養豚業における家畜排せつ物処理および堆肥生産の経済性と堆肥流通の空間的範囲を明らかにした.第1に,神奈川県の養豚経営体では1960年代から静脈部門が形成されており,非農家との混住化に伴い,静脈部門の設備は処理能力の優れたものに変化してきた.基本的に養豚経営体では,排せつ物を固液分離の後,堆肥生産や浄化処理を行っており,静脈部門は赤字となっている.市街化区域に立地する養豚経営体では,初期投資およびランニングコストの低額な公共下水道を利用している.市街化調整区域で公共下水道を利用する場合,下水管の敷設状況や経営内での一次処理の義務付けにより,経費が高額となっている.第2に,養豚経営体で生産された堆肥は,養豚経営体と同一市町村のみならず,最長50km圏内の耕種農家に販売され,広域的な流通範囲となっている.
- 2010-06-30
著者
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