倫理委員会に関する倫理学的考察
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概要
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臨床倫理支援を対象とする倫理委員会の主要な役割は、医療現場で判断しきれないことを法やガイドラインにもとづいて適切に判断することである。その内容は、法やガイドラインの適用に関することや、倫理的原理の間に生じる葛藤の解消などである。ここでは、知識と経験豊富な複数のメンバーによる議論は妥当な結論を導くという、現代版の「理性への信頼」が前提とされている。倫理委員会ではマニュアルを作ることが倫理学上も必要であるが、それに頼りすぎると判断が硬直化する。委員会は、状況に応じた適切な判断をするという一種の「徳」を要求されており、自らの判断能力を常に向上させなければならない。また、倫理とは本来つねに動的なのであり、倫理委員会は法やガイドラインに依拠しながら、それら自体の適否を問うようにもなるだろう。法に従う有徳な人々が社会を通じて法を改正するように、倫理委員会はネットワークを充実させることで、法やガイドラインの改正に働きかけることができる。
- 日本生命倫理学会の論文
- 2009-09-22
著者
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