頭部造影MRIが診断に有用であった胃癌転移による髄膜癌腫症の一例
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概要
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症例は56歳、男性。2007年8月食欲低下を主訴に受診した。上部消化管内視鏡検査で胃前底部小弯前壁を中心に2/3周の3型腫瘍を認めた。生検で低分化型腺癌と診断され、9月幽門側胃切除術を施行した。進行度はT3, N2, H0, P0, CY0, M0でStage IIIbであった。術後補助化学療法としてTS-1(120mg/body/day)の内服を行い、外来にて経過観察していた。術後4ヶ月目よりCEA値の上昇を認め、胸腹部CT、上下部消化管内視鏡検査および骨シンチを施行するも、異常所見は認めなかった。その後もCEA値は徐々に上昇した。術後1年2ヶ月、突然、せん妄と意識障害を認めたため入院した。頭部造影MRI検査で髄膜のびまん性の異常増強効果を認めた。髄液細胞診で腺癌を認め、髄膜癌腫症と診断した。その後、痙攣が頻発し発症後4ヶ月で死亡された。胃癌術後フォローアップ中の精神神経症状の発現は髄膜癌腫症を鑑別する必要があり、その診断には頭部造影MRI検査と髄液細胞診が有用であった。
- 2010-06-25