児童の罪悪感と学校適応感の関連
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概要
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本調査は,小学校4年生,5年生および6年生計367名を対象として,罪悪感と学校適応感の関連を検討した。その際,罪悪感を感じる場面として対人,規則場面を設定し,またそれらの罪悪感場面における子どもの対応として同調と傍観を設定した。調査の結果,対人と規則の両場面において,小学生は同調による罪悪感を傍観による罪悪感よりも強く感じること,また小学校4年生の同調と傍観による罪悪感が小学校6年生よりも強いことが見いだされた。性差については,女子小学生が男子小学生よりも同調と傍観による罪悪感を経験しやすいことが明らかになった。一方,罪悪感と学校適応感の関連を検討するため,学年,男女別に相関分析を行ったところ,すべての学年,性別において罪悪感と学校適応感の関連が認められた。また,その関連においては,小学校6年生にのみ罪悪感と級友関係(正)の関連が低いながら認められ,他学年とは異なる発達的様相が示された。このことから,問題場面において強く罪悪感を感じる児童は学校で上手く生活を送ることができ,また小学校6年生の罪悪感には良好な友達関係が関連する可能性が明らかになった。以上より,学校教育の中で子どもの適切な罪悪感の喚起を促すことができ,そのことが問題行動において傍観する子どもを減少させることに繋がると示唆された。
- 2010-06-20
著者
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