HIV予防啓発のメッセージに応答するということ
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概要
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現在行われている主なHIV予防啓発活動は個人により感染リスクの低い行動へと性行動を変容するよう呼びかけるにとどまり、倫理的な問題は比較的少ない。しかしながら、予防啓発のメッセージはリスク低減のための「技術」を伝えるだけではなく、ある一定の「価値」を内包している。それは個人の行動変容のみならず行動変容を容易にするような社会の変革をも含む。このような予防啓発のメッセージに対して、主体的に応答するとするならば、メッセージどおり自らの性行動と社会変革に同意するよりも前にメッセージが予防するよう訴える「HIVに感染するということ」についての理解が不可欠であると考える。しかしながらその理解には限界があるため、「HIVに感染するということ」についての理解を欠いたまま予防のメッセージに応答せざるを得ないという主体性の限界を認識する必要がある。
- 日本生命倫理学会の論文
- 2008-09-21