アフリカの神を求めて : ヨルバ・アメリカ人の宗教社会運動における「反白人・反キリスト教」主義の変容
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
アフリカ系アメリカ人は、その低い社会的地位を改善しようとして様々な社会運動を展開してきた。一連の社会運動の目的は、人種主義を緩和するとともに、その人種主義概念(生物学的決定論)を無批判に再生産するアメリカ合衆国の社会政治体制に変革をもたらすことであった。本稿では、みずからの拠り所を模索するために、米国でしばしば「未開・野蛮」と表象されるアフリカのヨルバラシドに起源を求め、ヨルバ人と自己同定し、ヨルバの神々を崇拝することに意義をみいだした宗教社会運動に着目する。本稿の目的は、アフリカ系アメリカ人の一部を構成する「ヨルバ・アメリカ人」の宗教社会運動を歴史的に捉え、「人種・宗教」的に均質な集団による排他的な運動の変化と、アフリカとの植民地主義的な権力関係の変化を分析することである。とりわけ、ヨルバ・アメリカ人の宗教社会運動において、かつて形成基盤とされた「反白人・反キリスト教」主義がいかに変容してきたのかに焦点をあて、その過程を宗教社会運動の形成、変遷、新たな展開の三段階にわけて考察を試みる。
- 2003-06-14