生産と消費の自己構築 : タイ都市部の仏教運動における瞑想と教団イベント
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概要
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本稿は、タイにおいて巨大な寺院組織(教団)へと拡大してきたタンマカーイ寺およびタンマカーイ財団をとりあげている。1970年代初頭より活動を展開しているこの教団は、独特な瞑想実践の思想、マスメディアの使用、大規模な建造物の建立、大々的な教団イベントの実施、過剰な献金要求などから問題視され、1998年末から批判が高まり、タイ仏教史上重大な社会問題となっている。本稿では、そのようなタンマカーイ問題を直接は扱わないが、この問題の背後にある消費社会と宗教の接点からタンマカーイ寺と財団の特質を明らかにする。対象としては、瞑想実践、教団イベント、マスメディアの介在と、消費的な宗教行為の連関を取り上げる。そして彼らの宗教的な自己構築と自己表象の営みが、都市部の高学歴層が直面している、生産と消費の心性の急速な形成、消費社会と公的な仏教道徳の矛盾等の問題を、独自の形で乗り越える試みであることを明らかにする。
- 「宗教と社会」学会の論文
- 2001-06-17
著者
関連論文
- 書評とリプライ 矢野秀武著『現代タイにおける仏教運動--タンマガーイ式瞑想とタイ社会の変容』
- 2.内なる身体と聖なる生産/消費 : グローバル化状況におけるタイ都市新中間層のアイデンティティ模索(II.事例発表,グローバル化とアイデンティティ・クライシス,ワークショップ(1),1999年度ワークショップ記録)
- 書評へのリプライ(『現代タイにおける仏教運動-タンマガーイ式瞑想とタイ社会の変容-』)(書評とリプライ)
- 櫻井義秀著, 『東北タイの開発と文化再編』, 北海道大学図書刊行会, 2005年5月刊, A5版, 304頁, 5500円+税(書評とリプライ)
- 書評とリプライ 櫻井義秀著『東北タイの開発と文化再編』〔含 書評へのリプライ〕
- 生産と消費の自己構築 : タイ都市部の仏教運動における瞑想と教団イベント
- 田辺繁治編, 『実践宗教の人類学-上座部仏教の世界-』, 京都大学学術出版会, 1993年3月10日刊, B5判, 437頁, 4400円