近代日本のキリスト教における電信員伝道
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概要
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従来の近代日本キリスト教研究で手薄であった、民衆層に受容されたキリスト教の実態を解明する一事例として、明治末期から大正期にかけての電信員伝道を取り上げる。これは日本ホーリネス教会の前身である東洋宣教会の活動と密接な繋がりをもち、最初期の職域伝道のひとつとしても注目される。聖霊の働きや直接体験を重視するグループと、当時の最新の電信技術との関連性に焦点を合わせ、機関紙に掲載された記事に見られる様々な比喩表現を紹介したのち、電信員伝道の社会的・文化的・教義的背景を、(1)通信技術の神秘性と権力構造、(2)電信メディアによる宗教的感性の変容、(3)電信員の職場環境、(4)当局の黙認、(5)不安定な技術水準と教義への適合性、の5点にわけて考察する。神との直接的な交流や聖霊体験を重視した初期キリスト教の聖霊派と、電信という近代技術の「有技者」たる電信員との結びつきには、一定の社会的必然性が存在したことを明らかにする。
- 「宗教と社会」学会の論文
- 2001-06-17
著者
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