華人のエスニシティと宗教 : オーストラリアにおけるパプアニューギニア出身華人のキリスト教団体
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概要
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本稿はオーストラリア華人社会におけるエスニシティと宗教との相互関係を、パプアニューギニア出身の華人に注目することにより考察する。現在のオーストラリアには、1970年代の白豪主義の放棄と多文化主義の標榜により、東アジアや東南アジア、オセアニアの国々から華人ニューカマーが流入するようになってきた。パプアニューギニア出身の華人はこうした近年の華人ニューカマーの中に含まれる。こうした華人ニューカマーの存在により、現在のオーストラリア華人社会のエスニシティは動態的かつ重層的な性格を獲得するに到った。このような華人社会の下位集団の存在は、従来、サブ・エスニック・グループという用語によって研究されてきた。こうした研究は下位集団ごとのエスニシティを形作るものとして、地縁関係や使用する言語に注目する傾向がある。これに対し本稿は、華人社会の下位集団の信仰する宗教に注目する。それにより、華人社会のエスニシティの動態的かつ重層的な性格を把握することを試みる。
- 2005-06-11