大規模ショッピングセンターが周辺居住者に及ぼす外部効果の地理学的分析 : 浜松市郊外の市野SCの場合
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
都市内部に立地する大規模な商業施設は,周辺居住者に対して何らかの影響すなわち外部効果を及ぼしている.本研究では,浜松市の郊外に立地した大規模ショッピングセンターを調査対象として選び,外部効果の空間的分布の特徴や強さを明らかにするため,店舗から約2kmの圏域内に居住する居住者に対してアンケート調査を実施した.回収した418通の回答を分析したところ,経済的な外部効果は正の方向に,また環境的な外部効果は負の方向に,それぞれ働いていることが明らかになった.交通渋滞と交通安全面では,特に負の外部効果が大きいが,居住者は買い物の利便性のようなショッピングセンターの正の外部効果を高く評価していた.大規模ショッピングセンターがもたらす外部効果の空間的特性は,影響の種類によって異なっている.すなわち経済的影響は,店舗から遠ざかるにつれて正の効果が減少していく距離減衰パターンを示す.騒音,交通渋滞,交通安全など環境面への影響は店舗からの距離が大きくなるほど負の効果が小さくなる距離減衰パターンを示す.さらに景観の評価は店舗の直近でもっとも悪く,そこから遠ざかるにつれていったんは良くなるが,それ以降は変わらなくなる距離減衰パターンを示す.外部効果への評価の空間的分布を見ると,環境的影響において店舗へのアクセス道・主要道沿いで顕著な環境の悪化を示していた.
- 2009-06-30