山梨県における経営コンサルティングサービスの供給者特性 : 「中小企業向け公的経営指導・支援機関」と小規模ビジネスサービス業の連携に着目して
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概要
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本稿は山梨県における経営コンサルティングサービスの供給者特性を,「中小企業向け公的経営指導・支援機関」と小規模ビジネスサービス業の連携から明らかにした.当該サービスは中小企業政策によって制度化され,無料で供給されてきた背景がある.その制度的実践を担う商工会議所や産業支援機構などの「公的経営指導・支援機関」は,交通の利便性が確保された地点に立地し,地域経済に精通した人材が山梨県内に立地する中小企業を対象に,経営相談から問題解決まで一連のサービスを供給しており,主導的役割を果たしてきた.また,コストの面かちみても,サービス料金が発生しないため,「需要者の総負担コスト」が低い形態であった.一方,その補完的役割を担う小規模ビジネスサービス業は,経営コンサルタント業に特化した事業所だけでなく,税理士業や司法書士業などを営む事業所も含まれる.これらの事業所を経営する専門家は山梨県出身の中高年男性で構成され,自宅にオフィスを開設し,キャリア形成時に得た知識,資格,人脈を用いて,中小企業のみならず「公的経営指導・支援機関」や地方自治体ともサービス取引を行っていた.そして,この「公的経営指導・支援機関」を中心としたサービス需給関係は,地域経済との関係が深く,マクロスケールでの山梨県,ミクロスケールでの国中地域,郡内地域という経済圏を中心に形成され,維持されてきたものであり,地域内で完結していた.
- 2009-06-30