京都市中心部におけるマンション開発と人口増加の動向
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概要
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人口の減少が続いていたわが国の大都市都心部において,1990年代以降人口が増加に転じる現象がみられ,それは人口の都心回帰ともよばれる.京都市でも1990年代後半以降,中心部において人口の大幅な増加が観察される.そこで本稿では,京都市中心部を対象地域として,産業地域特性に基づく地域区分を行い,それぞれの地域の用途地域や高度制限,土地利用といった地域的特徴が,マンション開発や人口動向にどのような地域差をもたらすことになったのかを分析した.1990年代後半以降に人口増加がみられるのは,京都市の都心地域であり,マンション開発が進んだ地域に相当する.しかしながら,都心地域内部におけるマンションの占有面積や価格の地域差によって,増加人口の年齢層や世帯特性に変化がもたらされる.占有面積が広く,住環境に恵まれた地域では,マンションも高価格であり,世帯主が40〜50歳代で,子どもを伴った世帯の増加がみられる.一方で,占有面積は相対的に狭小であっても,マンション価格は低く,生活利便性の高い地域では,30〜40歳代を中心に,子どもを伴わない世帯の増加が特徴となる.このように,地域特性によって分譲マンションの占有面積や販売価格などの条件は異なり,それらが増加人口の年齢層に影響を与えることが明らかとなった.
- 2009-09-30