グローバル競争時代における日本のデジタルコンテンツ産業集積の競争優位とイノベーションの方向性 : SDガンダムフォースプロジェクトを事例に(<特集>産業集積地域の革新性をめぐって)
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概要
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日本初のフル3DCDによるテレビアニメシリーズである「SDガンダムフォース」プロジェクトを事例として,日本における予算的・時間的に制限された条件下で,アニメのフル3DCG化を実現したイノベーションのプロセスとそのシステムの特徴を分析した.対象プロジェクトを実現した谷原スタジオを中心とした「谷原システム」は,次の5つの特徴を持つ.東京大都市圏で近接する異質なクラスターを前提として,第1に谷原スタジオの主要スタッフとしてアニメ系,CG系,実写系の多様な人材が集められ,第2にアニメ系,CG系,ゲーム系といった多様な企業をサテライトCGスタジオとして組織化している.第3にアニメ産業とCG産業という2つの方法,価値観の異なるクラスターを融合し,従来のアニメとは全く異なる「作り方を作った」.第4に,予想できない問題に対処するために,プロジェクト期間中にループ型からスター型へとプロジェクト構造の進化を行った(「作り方を作った,しかも作りながら」).第5に,このプロジェクトの中で,クラスターを融合する関係性資産が再開発されていったが,異質なクラスターのシステム融合を実現したのは,「クリエイティブサイドとプロデュースサイドのバランスをとった」,異端のリーダーシップであった.大都市圏のコンテンツ産業などでは,近接する異質なクラスターを前提に,その融合の可能性と困難性を認識し,融合する関係性資産の開発プロセスに注目する視点が重要である.
- 2005-12-30
著者
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