衣料品チェーンのローコスト・オペレーションとその空間特性(<特集>流通空間の再構築)
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概要
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本研究は衣料品チェーンを事例として,ローコスト・オペレーションを志向し,1990年代以降に急成長した小売チェーンにより形成される店舗展開と物流システムの空間特性を明らかにすることを目的とする.1990年代には消費不況と消費者の低価格志向の高まり,業態間競争の激化を背景として,小売チェーンにおいて企業全体の諸経費を削減するローコスト・オペレーションの追求が重要視されるようになった.小売チェーンのローコスト・オペレーションを支える特徴として,店舗の郊外立地による地代負担の軽減,パート社員の積極的な採用による人件費削減などが挙げられる.それに加えて多頻度小口配送を要求される業態とは異なり,商品鮮度を重視しない商品を扱う専門店チェーンでは,自社の物流を効率化することによりローコスト・オペレーションを達成することが求められている.その中で衣料品チェーンのS社を事例企業として,その店舗展開と物流システムの構築について分析した.S社は1990年代を通じて物流センターの新設と連動して,全国に店舗網を拡大した.その店舗網に対してS社は,センター間輸送,店舗への配送,在庫の店頭間移動という高度に集約化した自社物流システムを構築して物流の効率化を図ってきた.日常衣料を扱う衣料品チェーンは,ファッション性よりも機能性や価格を重視する商品を扱うため,企業の店舗構成やチェーン・オペレーションをより単純化,標準化,高度化することが要求される.
- 経済地理学会の論文
- 2005-03-30
著者
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