唐代河北地域の藩鎮と仏教 : -幽州(盧龍軍)節度使の事例から-
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概要
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唐代後半期の河北地域は反側藩鎮の支配下にあり、朝廷に対して半独立的姿勢を取っていた。仏教に関しても中央と異なる独自の傾向が見られるが、それに対して藩鎮が果たした役割は大きなものであったと考えられる。本稿では、特に幽州節度使のケースを取り上げ、石刻史料を題材として仏教との関わりについて検討する。まず、取り上げるのは法源寺所蔵の舎利記である。当初は智泉寺に蔵されていた舎利は、火災や廃仏を経て、憫忠寺に移されることになる。その際、幽州節度使が大きな役割を果たしたのである。次に房山石経と幽州節度使の関係について検討する。隋代に開始された石経事業は、八世紀前半には隆盛を極めるが、安史の乱により一時停滞する。八世紀末以降、再び盛んになるが、その際事業を援助したのが、歴代の節度使であった。このように幽州節度使は当地での仏教の発展に大いに貢献した。大規模に行われた会昌の廃仏の際も、この地での影響は限定的なものであったと考えられる。
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