里山保全活動における落葉堆肥化 : 堆肥化年数の違いによる化学・生物的変化と植物生育に及ぼす影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
近年わが国では,里山保全活動の一環として落ち葉かきの実施と堆肥づくりが再び行われはじめている。本研究では里山における落ち葉堆肥の堆肥化年数の違いによる化学的・生物的性質の変化を把握するとともに,植物の生育に及ぼす影響について明らかにすることを目的とした。落ち葉かき直後の落ち葉と堆肥化1年後の有機物について,重量含水率や窒素含有率,C/N比,腐植化を示す指標(A_<600>),水抽出態溶存炭素量,微生物バイオマス炭素量,微生物活性を示す指標(A_<490>)について有意な差がみられた。堆肥化1年後以降の有機物については概ね違いがみられなかった。また,植物の生育試験結果から,堆肥化1年後以降の有機物を化学肥料とともにすきこめば植物の生育を促進させることが明らかとなった。以上のことから,堆肥化1年後以降の有機物であれば,堆肥として有効であることが明らかとなり,腐植化と微生物活性を示す指標(A_<600>,A_<490>)は落ち葉堆肥の腐熟度の把握と植物への生育を阻害しない指標として有効であることが示唆された。
- 2010-06-25
著者
-
浦川 梨恵子
東京農工大学大学院農学府
-
市川 貴大
とちぎ農林倶楽部
-
市川 明日香
とちぎ農林倶楽部
-
浦川 梨恵子
東京農工大学大学院農学府:(現)農業環境技術研究所物質循環研究領域
-
浦川 梨恵子
農業環境技術研究所
-
浦川 梨恵子
(独)農業環境技術研究所
-
浦川 梨恵子
東京農工大・農
関連論文
- 里山保全活動における落葉堆肥化 : 堆肥化年数の違いによる化学・生物的変化と植物生育に及ぼす影響
- 斜面位置の違いによる森林土壌の糸状菌と細菌のバイオマス
- FDA(フルオレセイン・ジアセテート)加水分解活性を用いた有機物中の微生物活性の簡易測定
- 1-10 北関東地方のスギ・ヒノキ人工林流域からの窒素流出の長期モニタリング(1.物質循環・動態,2009年度京都大会)
- スギ・ヒノキ伐採流域における火山灰土壌の陰イオン吸着特性がNO_3^-の長期流出に及ぼす影響
- 2009年現地研究会に参加して : 細く,長く,まっすぐと
- 農村公園における生育の異なる樹木の植栽基盤の比較(技術報告編)
- 里山保全活動における落葉堆肥化 : 堆肥化年数の違いによる化学・生物的変化と植物生育に及ぼす影響
- まちづくりむらづくり 農林業体験時に配布した地域通貨の動向と地域活性化への効果--特定非営利活動法人塩谷町旧熊ノ木小学校管理組合の事例
- 森林土壌での養分動態特性 : 東京農工大学フィールドミュージアム(FM)での研究(森林管理のあり方と物質循環研究)
- 高齢化したスギ・ヒノキ人工林小流域における下層土のNO_3^-吸着による窒素流出の遅延効果
- 高齢化したスギ・ヒノキ人工林小流域の斜面下部伐採が土壌および渓流の水質に及ぼす影響
- スギ・ヒノキ壮齢人工林小流域における降雨の移動に伴う溶存有機態窒素および溶存有機態炭素の動態
- P22-5 土壌・地形的要因を考慮した硝酸性窒素による地下水汚染に対する脆弱性評価(ポスター紹介,22.環境保全,2010年度北海道大会)
- 高原山山開き参加者に対する意識調査
- 農林業体験時に配布した地域通貨の動向と地域活性化への効果 : 特定非営利活動法人塩谷町旧熊ノ木小学校管理組合の事例
- 21 農業由来窒素の負荷軽減シナリオによる地下水汚染リスクの評価(関東支部講演会,2010年度各支部会講演要旨)
- 1-39 稲わら堆肥連用黒ボク土畑における水・炭素・窒素動態の長期モニタリングとモデリング(1.物質循環・動態)
- 1-17 農業集水域を対象とした窒素負荷軽減シナリオによる地下水汚染リスク評価(1.物質循環・動態)
- 環境放射線モニタを用いた堆積有機物層および表層土壌中の放射性物質濃度の簡易測定