観光教育における「現場の知識」の活用にむけて : パッケージツアーの価格決定における「勘と経験」をめぐる考察
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概要
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産業界が求める人材を育成することは,観光教育において目指されるべき一つの方向性であろう.しかし現状では,観光関連産業は,入社後の実務現場における教育を重視している.その背景には,大学における観光教育では教えることのできない「現場の知識」が,日常の業務に存在していることがあげられる.本稿では,このような「大学で得る知識」/「現場で得る知識」という二項対立的な枠組みを乗り越え,観光関連産業の「現場の知識」を教育の場に活用する可能性を探るため,パッケージツアーの価格決定において必要とされる「勘と経験」を事例として,「現場の知識」の持つ性質や特徴を明らかにすることを試みた.その結果明らかになったのは,「現場の知識」は,大学において教育可能な形式的な知識に対し,メタレベルで作動する暗黙的な知識であるということ,したがって「現場の知識」そのものを教えることは困難であるが,そのような暗黙知と連関して形式的な知識を教育する方法の質を高めることが,現在の大学における観光教育に求められるということである.
- 2009-12-31
著者
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