インドシナ産Stichophthalma属とその1新種の記載(鱗翅目,タテハチョウ科,ワモンチョウ亜科)
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概要
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インドシナに分布するStichophthalma属に含まれるgodfreyi,cambodia,howqua,louisa,sparta,fruhstorferiの分布資料を提示するとともに地理的変異についての紹介を行なった.また,大英自然史博物館に所蔵されているS.godfreyi,S.cambodia cambodia,S.cambodia editha,S.howqua tonkiniana,S.louisa tytleri,そしてS.sparta wilhelmaの模式標本を図示した.模式標本,被検資料を比較・検討した結果,S.cambodia edithaはS.cambodiaの原名亜種に含まれることが判明し,同物異名(synonym)として処理をした.また,各種の雄ゲニタリアを図示し,比較を行なった.大きな種差は認められず,基本的な形態は同様であった.比較的広域に分布し,各地ごとに翅斑の変異がみられるS.louisaは雄交尾器にも微差がみられた.Stichophthalma uemurai sp.nov.南ベトナムで発見された1新種の記載を行なった.翅面は特異な色彩をもち,地理的にも隔離された分布をすることから新種と判断した.翅表はfruhstorferi,翅裏はcambodiaに近似し,雄交尾器のgnathos,saccusは両種の中間的な形態をしている.全体的に類似するfruhstorferiとの区別点は以下のとおりである.1)前翅外縁は直線的(fruhstorferiでは丸みが強い),2)翅表基半の地色は普通青灰色(fruhstorferiでは黄褐色から褐色),3)亜外縁の斑紋は発達する(fruhstorferiでは比較的小型),4)tegumenは背方に丸く膨らむ(fruhstorferiではほとんど平ら),5)phallusはわずかに太い(fruhstorferiではわずかに細い).分布:ベトナム南部.
- 1998-04-10