顧客別収益性測定モデル : 活動基準原価計算アプローチ
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概要
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本論文の目的は,顧客別収益性測定のための活動基準原価計算(ABC)モデルを提案することである.まず,(1)価値連鎖の一部であるマーケティング活動を,さらに,つぎの下位の活動に細分化する.すなわち,(1)販売担当者育成活動,(2)市場調査活動,(3)注文獲得活動,(4)注文履行活動,(5)売上債権回収活動,(6)アフターサービス活動,(7)支援活動.つぎに,(2)(1)「顧客別売上・売上原価マトリックス」を用いて顧客別売上総利益を求める.(2)製品原価計算が適切に実施されていることを前提として,顧客を原価計算対象とするABCにおいては,これらの下位の活動に適用するために,「資源・活動マトリックス」を用いて資源消費による費消原価を活動原価に負担させる.(3)活動原価から顧客別原価を集計するために「活動・顧客マトリックス」を作成する.(4)顧客別売上総利益から顧客別原価を控除して顧客別利益を計算するために「顧客別利益計算表」を作成する.(3)顧客別利益を計算するための一般式を導出する.この方法により,限られた販売能力しかない企業がどの顧客を優先し,どの顧客を重視すべきでないかを判断するための尺度が提供され,合わせてマーケティング活動に関する原価管理のために有用な情報も示されることになる.
- 2009-02-28