実際消費資源額と技術力評価額の一致度と政府による価格設定 : 経済合理思考と専門職評価思考のバランス
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概要
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医療購入者(支払者)と医療専門職は,医療サービスの価格設定において利害が対立している.根本的には経済合理思考に基づいている実際消費資源額ベースの価格付けを支払者は想定しているのに対して,医療専門職は彼ら自身が主張する技術力評価額ベースの価格付け(提供技術力の価値の適正評価)を想定している.本研究では,(1)各種手術サービスで実際に消費される資源額の各種手術間での相対的な価値と,各種手術サービスの技術力評価額の各種手術間での相対的な価値とがほとんど一致しないこと,(2)また各種手術サービスの実際消費資源額(絶対的な価値水準)と技術力評価額(絶対的な価値水準)もかなり乖離すること,を明らかにしている.こうした状況の下では,政府は各種手術サービスの相対価格及び絶対的な価額を決定するに際して,経済合理思考と専門職評価思考のどちらに基づいて価格設定をすべきか熟慮する必要がある.本研究では,政府は両思考をバランスする形で相対価格及び絶対価額を設定していることが明らかになった.
- 日本管理会計学会の論文
- 2009-02-28