医療機関の赤字経営とその意味 : 独立行政法人国立病院機構の分析を通して
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概要
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本稿は平成16年度より独立行政法人化された国立病院機構の第1期公表財務諸表をもとに,国立病院機構に属する各病院の経営状態および費用構造を分析したものである.独立行政法人国立病院機構として初めて公表されたデータをもとに赤字病院・黒字病院の費用構造を明らかにすると共に「他の公的病院」として日赤,済生会,自治体病院との比較を行う.また施設別損益計算書をもとに,国立病院機構に属する全154病院について診療業務利益,教育研修業務利益,臨床研究業務利益に分け,当期純利益に至るまでの業務内容に区分した利益傾向の類型化を行う.さらに病院規模特性および診療科の特性を排除するため,医業収益を一定に調整し,独立行政法人国立病院機構の費用構造の分析をした.その結果,赤字/黒字の別ではなく,医療機関の当期純利益額を0を中心として連続で捉える必要があることが明らかになった.このことは医療機関における赤字経営の意味を捉える際に示唆に富む事実である.
- 2007-03-30