京セラの大家族主義経営と管理会計 : アメーバ経営と時間当たり採算

元データ 2007-03-30

概要

京セラ株式会社は独自の経営フィロソフィに基づくアメーバ経営により急成長を遂げてきた巨大企業の1つである.アメーバ経営は,そこに配置されたアメーバリーダー,アメーバ組織,そして時間当たり採算を基軸とする管理会計によって展開される.アメーバ組織は環境変化に応じて伸縮できる小さな自律的組織である.その編成原理は事業部制組織ではなく,職能部門別組織を基礎としたライン採算制組織である.時間当たり採算の計算では,まずアメーバ組織ごとに売上高から経費が差し引かれて部門別採算が計算され,次にこの部門別採算を総労働時間で割って時間当たり採算が計算される.時間当たり採算はアメーバ会計の中軸的利益概念である.注目すべき点は,時間当たり採算から時給を差し引いた値が時間当たり残余利益となることである.また生産アメーバと営業アメーバが機会損失を回避するために,連鎖してアメーバ活動を新しい同期化水準へ押し上げるので,会社全体の利益最大化を目指した利益連鎖管理が可能になる.アメーバ経営の管理会計は,京セラが大家族主義という強烈な経営フィロソフィの下で作り上げた一大果実である.

著者

上總 康行 京都大学大学院経済学研究科

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