個人情報漏洩事件に対する株式市場の反応
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概要
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企業における個人情報の保護が重視され,情報セキュリティマネジメントとして漏洩事件のリスクアセスメントが必要となっている.これまで,漏洩事件の被害について,技術的対応や顧客対応などの直接的費用は算定可能であるが,信頼性の低下による長期的な売上減少やブランド価値の下落は計り知れないと言われてきた.本研究では,イベントスタディの研究方法を用いて,個人情報漏洩事件直後の株式市場における企業価値の減少を被害予測として測定することを試みた.1997年から2004年に発生した上場企業による漏洩事件118件をイベントとして株式市場の反応を分析した.その結果,平均して-0.667%という有意な負の異常収益率が観察された.また,以前よりも近年の事件の方が,小規模よりも大規模な事件の方が,異常収益率により大きな負の反応があった.近年発生した大規模な事件に限れば,異常収益率は-1.726%と大きく,また,異常収益率のチラバリの1/3が回帰モデルによって説明された.
- 日本管理会計学会の論文
- 2006-11-30