研究開発投資と企業価値 : コスト・ベネフィット分析の視点から
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概要
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本稿では,研究開発投資のコスト・ベネフィット分析の視点から,研究開発投資プロジェクトのインプット→中間的成果(技術知識ストック)→研究開発投資から得られる最終的成果(企業価値)に至る一連のイノベーション・チェーンを提示する.研究開発投資プロジェクトのインプットから生み出される技術知識は非競合性と非専有性の特性を有し,高いリスクを伴う.非競合性と非専有性を非財務的測度によって測定すると,特許残存期間,特許終了期間,製品化までの期間,研究開発投資の進捗状況と開発製品やサービスの成功件数,FDAの承認やベータテストなどによって測定される.企業目標は企業価値増大と考えられるため,研究開発投資のコストとベネフィットの測定にこの評価基準を適用すると,最終的成果(企業価値)はプロジェクトライフ期間に生じるDCFあるいは超過利益の現在価値によって測定される.DCFあるいは超過利益の現在価値によって測定する場合,プロジェクトライフ期間,将来のキャッシュ・フローあるいは超過利益,ならびに資本コストの測定が問題となる.
- 日本管理会計学会の論文
- 2003-08-20